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ひと夏の恋……そして……
第17章 会いたくて泣く

夏樹とちゃんと話がしたくて、私はもう一度夏樹に電話をかけてみることにした。
今度は電源が入っているようで呼び出し音が鳴る。
だけど夏樹が出ることはなく留守電に変わった。
「真和。留守電に変わったけどメッセージ残す?」
「残す!なつ兄ちゃんに早く会いたいってメッセージ残す」
私の胸から顔を上げた真和は、うれしそうに笑ってメッセージを残し始めた。
「なつ兄ちゃん。僕、真和だよ!いつ会いにきてくれるの?なつ兄ちゃんが会いに来てくれるの待ってるんだよ。あのね、あのね……」
正直、私はずるい。
私がメッセージを残しても折り返しの電話はないと分かっているから、真和にメッセージを残すように仕向けた。
真和が会いたいと言えばきっと会ってくれると、そう信じての事だった。
だけど、夏樹が電話をかけてくれることはなかった。
何度真和がメッセージを残しても、電話もなければ会いに来てはくれなかった――

