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メンタリズムな恋…
第19章 先生、帰ろう
教授の言う通りに院に行くべきだとはわかってる。
なのに私の頭の中では幸之助がまた居なくなる不安に支配されて素直に院へ行きますと教授に答える事が出来ない。
「もう少し考えさせて…。」
頂けませんか?
そう言う前に
「行けよ。院…、心理学で資格を何も持ってない奴は苦労するだけだぞ…。」
ととぼけた声がする。
「幸之助っ!?」
お前のせいで今は色々と悩んでるんだと言い返してやりたい。
「教授…、悪い。傷口を診てくれ…。」
私を見ずに幸之助は当たり前のようにリビングにあるカウチソファーで踞る。
初めて来たと言ってたのに…。
幸之助には物怖じするという事がないらしい…。
「救急箱を持って来て…。」
河合教授の指示を受けて私は廊下にある物置へ救急箱を取りに行く。
「どういうつもりだ?」
河合教授の声がする。
明らかに幸之助には怒ってると感じる声…。
「どういうって…。」
幸之助が面倒臭そうに答えてる。
「三好君は僕の大事な学生だと言ったはずだ。」
「聞いたよ。だけど俺の予定外で亜子は過去の記憶を受け入れた。その責任は片桐に言ってくれよ。」
「片桐君は誠実に彼女に寄り添ってたよ。三好君に何らかの心理的影響が出れば自分の責任だと…。」
「当然だ。」
幸之助が吐き捨てるように言う。
「わかってて君は三好君から離れた。」
「確か、亜子には手を出すなと河合教授が言わなかったか?」
「それとこれとは…。」
話が違う。
そんな教授の言葉をどうせ幸之助は受け流す。
ああ言えばこう言う…。
メンタリズムの強い幸之助はそうやって人を翻弄して混乱させる事に長けている。

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