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向日葵の姫君~王女の結婚~(「寵愛」第三部」)
第59章 兄と弟
興真君は紅順に近づくと、しゃがみこんで視線を合わせた。冷えた蛇(くちなわ)のような眼が光っている。汗びっしょりのはずなのに、何故か背筋が冷たくなった。
「あれから、私は国王殿下に再度、お逢いしたのですよ。もちろん、あなたとの縁談をお受けするとお応えするためにね。ですが、どうしたものか、殿下は今度は、はっきりとお断りになった。何故でしょうね、私からお断りしたときは、破談にするとは仰せではなかったのですが」