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フリマアプリの恋人
第5章 チャイナローズの躊躇い

「…澄佳はあんたに何も?」
「ああ。…まだ、話したくないのだろう。
僕も彼女に無理強いしてまで聞きたいとは思わない。
…けれど、どんなひとだったのか気になってね」
…写真の二人が脳裏に蘇る。
ひとたびは、澄佳が恋をし…共に過ごした男…。
気にならないわけがない。
「…あいつは…片岡はサイテーのクズ野郎だったよ」
吐き捨てるように涼太は言った。
「…あいつは…片岡は内房の巨大ホテルや旅館を数多く持っているリゾート産業会社の若社長だった。
代替わりしてこの辺りを視察に来て、婆ちゃんと食堂で働いている澄佳に一目惚れした。
そして、まだ二十歳そこそこだった澄佳をタラし込んでここからいきなり連れ去った。
澄佳は純粋でひとを疑うことを知らない。
俺は何度も澄佳に会いに東京に行って説得した。
けど澄佳はあいつを信じると言い張った。
あいつを信じて…尽くして尽くして…それなのにあんな目に遭わせて…!」
防波堤の壁を力任せに叩く。
「…すまねえな。…何があったかは俺の口からは言えねえ。
澄佳はきっと自分からあんたに言いたいはずだ」
…だけど…と言葉を繋ぐ。
「…澄佳を信じてやってくれ。
澄佳は被害者だ。何も悪いことはしてねえ。
…それから…あんたをすごく愛している」
「…涼太くん…」
…涼太は改まった表情になり、頭を深々と下げた。
「…澄佳を頼む…。あんたが、幸せにしてやってくれ」
「ああ。…まだ、話したくないのだろう。
僕も彼女に無理強いしてまで聞きたいとは思わない。
…けれど、どんなひとだったのか気になってね」
…写真の二人が脳裏に蘇る。
ひとたびは、澄佳が恋をし…共に過ごした男…。
気にならないわけがない。
「…あいつは…片岡はサイテーのクズ野郎だったよ」
吐き捨てるように涼太は言った。
「…あいつは…片岡は内房の巨大ホテルや旅館を数多く持っているリゾート産業会社の若社長だった。
代替わりしてこの辺りを視察に来て、婆ちゃんと食堂で働いている澄佳に一目惚れした。
そして、まだ二十歳そこそこだった澄佳をタラし込んでここからいきなり連れ去った。
澄佳は純粋でひとを疑うことを知らない。
俺は何度も澄佳に会いに東京に行って説得した。
けど澄佳はあいつを信じると言い張った。
あいつを信じて…尽くして尽くして…それなのにあんな目に遭わせて…!」
防波堤の壁を力任せに叩く。
「…すまねえな。…何があったかは俺の口からは言えねえ。
澄佳はきっと自分からあんたに言いたいはずだ」
…だけど…と言葉を繋ぐ。
「…澄佳を信じてやってくれ。
澄佳は被害者だ。何も悪いことはしてねえ。
…それから…あんたをすごく愛している」
「…涼太くん…」
…涼太は改まった表情になり、頭を深々と下げた。
「…澄佳を頼む…。あんたが、幸せにしてやってくれ」

