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MILK&honey
第19章 「まさか、かーさん?」
その人を見て、頭の中が真っ白になって、顔は勝手に、真っ赤になった。
落ち着いた光沢の有る、黒地に紫のアクセントが効いたスーツ。
お兄ちゃんより、少し背が高い。
肩くらいの長さの有る黒髪が、汗で濡れてる。
不機嫌そうに眉間に皺が寄ってるけど、イケメンって言葉が有るけど、この人は間違いなくそれだろう。
この人……スタッフさんじゃ、無くない……?!
「……妃愛乃のお友達?」
緊張し過ぎて声が出ない。こくこく頷く。
「あいつは?」
「トイレにっ」
「……また迷ってんじゃねぇのか……」
あ。眉間の皺が、深くなった。
また迷ってる、って……この人、ヒメの事よく知ってる人だ。
そう思ったら、声が出せた。
「あのっ……ヒメの、彼氏さんですかっ?!」
「ああ」
彼氏さんは少し迷って、私に手を差し出した。
……握手?だよね?
「相沢朔だ。巧にも世話になってる」
「お兄ちゃん……バンドの方ですか……」
握手して、手を離す。
バンドの方ですか、じゃなくて、方ですね、だよね。
こんな格好してるのにそうじゃ無かったら、何かのコスプレしてる人だよ。
「かっこいい……ですね……?」
「あー……有り難う……?」
声は、出せてる。
出せてはいるけどっ……!

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