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プロポーズ体験売り出します
第7章 目的達成につき販売終了
・・・社長には少なくとも2人、愛人がいるわ。
もう察しているかもしれないけど私がその一人。
もちろん不倫と承知して付き合っているけど、社長にまた新しいオンナが
できたって気づいた時には面白くなかったわ。
だって、せっかく私が当時の愛人を引き離してやったのにまたなの?ってね。
誰なのよって問い詰めても教えてはくれない。
気になり始めた頃に偶然、飲み屋で服屋の彼女と話す機会ができて。
今度は二人で来ましょうねって盛り上がったの。
女二人になると恋愛話に花が咲いたわ。
そこで彼女は不倫の恋をしているって打ち明けてくれたの。
どんな人?って聞いたけど教えてはくれなかった。
まさか梶原だとはその時は思わなかったけど、偶然見たのよね、
彼女の店に社長が入っていくのを。
本社の3階の窓からずっと、様子を窺った。
もちろん店の中は見えないけど、出てくるまで見続けた。
5分くらいで社長が出てきたけど、送りに出てきた水神さんの髪をなでたの、彼。
見た瞬間、やっぱり新しい女は水神さんだと確信したわ。
その核心を胸に水神さんに再び相手を訊ねてみた。
でも彼女は頑として答えない。アンニュイな眼差しでふっと笑うだけ。
だからもう彼女から直接聞きだすことはあきらめて、別の方法を考えることにしたの。
ある時、二人で飲んでいた時、一度でいいからプロポーズの言葉を
言われてみたいわって、言ったのよ、彼女。
叶わぬ恋。わかっているから、だから嘘でいいのって、どう?おもしろくない?って、
笑い出したの。そこで思いついたのよ、
プロポーズ体験っていう商品を作ることを・・・

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