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キズ×ナデ【Hな傷跡と仮初の愛撫】
第2章  〝岬〟 


 場所は、わたしの部屋。一緒にいるのは、もちろん均くんだ。二人はベッドの上に腰かけて、身体を密着させている。

 わたしはアイマスクをされ、視界は閉ざされたままだった。

「じゃあ、どこから触ろうか」

 その言葉ひとつで、ドクンと心臓が脈打つ。熱いものが湧き出しそうな、お腹の辺りを、後ろから均くんの右手にぐっと抱きすくめられた。

 左手の方は、はじめは肩へ置かれて、それがゆっくりと二の腕、肘、上腕、手首を滑った。

 それから、ベッドの上で所在なくしていた、わたしの左手――その甲に、重なる。わたしの感覚が、研ぎ澄まされるようだ。

 均くんの五本の指先が、じわりと力を強め、指の水かき、指間膜に沿って入り込むとわたしの指を押し広げていった。

 互いの指と指とを、しっかりと絡み合わせてゆく。

「ああ……」

 感情のベクトルが上向くのを強烈に予感し、思わず切なげな声を発した。

 だけど、相手からのアプローチがそれで一旦止まると、更なる高まりを求め、今度は自ら彼の指を、きゅっと挟み込んだ。それに応えて、均くんも様々に指先を操ってきた。

 じれったく手のひらをくすぐったと思えば、一転、執拗なほど絡み、硬く結び合わせてくる。街を歩く恋人たちのように、しっかりと手を繋ぐと、どちらからともなく汗を滲ませていた。

 それを恥ずかしく思う間もなく、しっとりと更に互いの意向を感じ合おうと、探る。

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