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キズ×ナデ【Hな傷跡と仮初の愛撫】
第4章 岬?

「このグラビアの〝弘前あやか〟ってモデルの人――もしかして、岬ちゃん?」
眩しい太陽の元の砂浜で、真っ赤なビキニを身に着けて笑う。その水着グラビアは、間違いなくわたしを映したものだった。
「……」
無言で顔を伏せた仕草が、暗にそれを認めてしまっている。
均くんも確信を得たようで、更にこんな風に訊ねた。
「岬ちゃんは前に〝弘前あやか〟という芸名で、モデルをしていたことがあるんだね」
全身を小刻みに震わせたわたしの目の前は、真っ暗になった。
でも正確には、均くんの言ったことは一部に誤りがある。でも今は、それを訂正する気にもなれなくて……。
「あの、どうして――」
「いやっ!」
切り抜きを均くんから取り上げ、わたしは頭を抱える。そして――
「み、岬ちゃん」
「もう、かまわないで!」
大声で告げると、重いレジ袋を落とし、その場から駆け出していった。
「待って!」
背中に飛んだその声に振り向くこともせずに、一心に闇にまみれる。
全力で走りながら既に、あきめはじていた。もう二度と均くんのいるコンビニには、こられないだろう、と。

