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第5章 宿命

　チェスンの母の場合は、それだけは免れ得たようだが、夫人の死後、残されたのが後嗣たる男児とあれば殺害されるか、奴隷に落とされる可能性は限りなく大きい。




　チェスンは涙声で言った。





「罪人の妻として、実家でも肩身の狭い想いをしていた母は、殿下の両親の婚礼の日、すすり泣いたそうだ。泣きすぎて、血を吐くほどに泣いて、亡き良人と自分の無念は死した後も忘れぬと、泣きながら言っていたと、養父が話してくれた」