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光を求めて
第22章 光に向かって

「彩羽を見るたびに楓ちゃんの事を思い出す。楓ちゃんを殺したのは私なのだと……もしあの時、犯人の要求に素直に従っていたら殺されることはなかったと。そして、彩羽の目が私に向くたびに楓ちゃんに責められているようで、私は彩羽を避けるようになり、無邪気に笑うお前を見ていたたまれなくなりお前に辛く当たるようになった」
父は一歩私に近づき、頬に手を当てる。
その手は震えていて、父の心の内まで伝わってくるかのようだった。
「……私が声を荒げるとお前は怯えるかのように小さくなって震えていたな。怯えた目で見られれば見られる程罪悪感は膨れあがる。優しくしてあげたいのに優しくしてあげられないもどかしさ。楓ちゃんはもう笑うことも優しくしてもらうこともできないのに彩羽はと思うと冷たく当たっていた。……全ては私が招いた事なのにな。彩羽は何一つも悪くはないのに、私は――彩羽を責めることで罪から逃れようとしていたんだ」
父の言葉は、私が思っていた以上に父を苦しめていたのが良く分かる。
そんな思いを何十年もしていたと思うと父が哀れに思えた。
それでも、私は父に愛されたかった。
楓ちゃんが亡くなる前みたいに、大好きだった父を感じていたかった。
それを伝えると、父は大粒の涙を流した。

