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第2章 涙のチキン南蛮

「いらっしゃいませ、ご注文は？」

「チキン南蛮……ライス小盛りで……」

注文を聞かれて、水とお茶、カトラリーが置かれる。
カウンターの端の席だから、大荷物は横に置かせて貰った。
こんな荷物持って移動する予定なんか無かったのに、……
……思い出したくないっ。

この後、どうしよう……
……それも、考えたくないっ。

お腹空いてるとろくなこと考えないよ。
とりあえず、ご飯食べよう。
早めのお昼から、ずっと食べてないし。
焼きラーメン、美味しかったのになー……
何が有っても、お腹は減るんだなー……
……考えないったら！！

「ご馳走様でした」

隣のカップルが、立ち上がった。
カップル……考えないってば……。

テーブルが片付けられ、ドアが開く音がした。
人気店だから、外で並んでいる人が、席が空いたら何人かずつ入店してくる。
隣に誰か来たなと思ったら。

「おー？！」

「え？」

見上げたら、目が細いお隣さんが居た。