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せめて、今夜だけ…
第6章 刹那
―――――――――「ん…」
俺は、カーテンから射し込む朝日で目が覚めた。
…今、何時だ?
手を伸ばしてスマホを探した。
「ん、あ…?」
眠気眼で見たスマホに表示されている時刻を見てみると、朝の6時前。
あー、マジで仮眠ぐらいしか取れなかったな。
でも、この時間なら会社には間に合うな。
とりあえず、隣で眠る魚月を起こしてルームサービスでも取るか。
それとも、ホテルを出てどこかのカフェにでも行くか。
「魚月…」
眠気ながら隣にいる魚月に声をかけた。
しかし…
「魚月…っ?」
魚月の返事がない。
腕枕をしてたはずの腕が妙に軽い。
「……………っ!?」
ふっと見ると、そこに魚月の姿はなかった。
俺の隣で寝てるはずの魚月の姿がベッドになかったのだ。
脱ぎ散らかしていた魚月の服もなくなっている。
変わりに、洗濯済みの俺のスーツが用意されているだけ。
―――――――ドクッ、ドクッと心臓が高鳴る。
嫌な汗が背中にじんわりと浮かんで来ている。
「魚月っ!?」
シャワーでも浴びてるのかと、浴室を見に行ったがシャワーの音は聞こえない。
この部屋に、魚月の気配がなくなっていた。

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