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せめて、今夜だけ…
第17章 人魚が残した猛毒
あの雪の夜に、全て終わったはずなのに…。
全て終わらせたはずなのに…。
スマホも捨てて、魚月との思い出は全て消却したつもりだったのに
まだ終わってない…。
俺の中の魚月への想いは全然終わっていない。
消えていない。
「な、何よ、それ…」
俺の肩に触れていた先輩の手がゆっくりと離れて行く。
俺は項垂れたまま、俯き頭を抱えていた。
魚月との思い出が脳裏に溢れて、今にも泣き出しそうになってる顔を先輩に見られたくなかった。
「何で…、何で魚月さんなの…?何で、よりによって…っ!!」
そんなの、俺が1番聞きたいよ…。
俺に背中を向けて、先輩もベッドの上で項垂れているようだった。
ここまでしたのに、当の俺は使い物にならない。
自分でもバカだとわかってる。
「殴ってくれてもいいですよ…」
女性にここまでさせたのに、俺は何も出来ない。
罵られても文句はない。
「あぁ、それより――――――」
殴られてもかまわない。
詰られてもかまわない。
でも、こんな苦しい思いをするくらいなら…。
これから一生、こんなに苦しまなくてはならないなら――――
「殺してくれてもいいですよ…」
愛した人と結ばれないなら、魚月との思い出を土産に、ここから消えてしまいたい。

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