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せめて、今夜だけ…
第14章 火花
ドクンッ、ドクンッ、ドクンッ…。
その声は、俺が2度と聞きたくなかった声だ。
つーか、嘘だろ…。
何で、こんな時に…。
空耳であって欲しいと切に願った。
どうか、俺の聞き間違いであってくれ、と。
しかし、俺より先にその声に反応した先輩が振り返る。
そこにいたのは…
「あれー?翔太さんと魚月さん!」
――――――――っ!
まるで錆びたロボットのように、俺はぎこちない動きで後ろを振り返った。
そこにいたのは…。
「奇遇ですね!こんな所で安西さんと魚塚さんに会うなんて!」
「翔太さんこそ、こんな所で何を?」
「…………っ!」
嘘、だろ…。
「魚、塚さ…」
そこにいたのは…
翔太と魚月だった。
俺と先輩の姿を見つけ、翔太は驚いた顔をしているが、魚月は目を丸くさせて驚いているようだった。
しかし、驚いたのは俺も同じだ。
風間先輩と翔太は楽しげに話しているが、俺と魚月は互いに言葉を失い固まってしまっている。
「最近仕事で忙しかったんで、今日は魚月と食事でもしようかと思って」
「あら、羨ましいですわ!」

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