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セイドレイ【完結】
第53章 落日

足早に日々は過ぎて行き、GWが明けた。
連休中、息子を連れて『じーじ』こと啓太郎の元へ帰省したり、日帰りではあるが近場へ家族旅行したりと、充実した日々を送っていた亜美たち一家。
そして亜美はついに、社会人としての一歩を踏み出した。
週3日、9時から15時までのパートタイム。
大川が社長ということを除けば、これまで学んだ知識を活かすことのできる環境。
新しい人との出会い。
そして利用者である児童達との触れ合い。
不安と期待が入り交じる中、初週はあっという間に過ぎ去った。
「...じゃあ健一さん、子供達のこと...よろしくお願いします。あんまり遅くならないうちに帰って来るつもりだけど...」
「いいよいいよ、家のことは気にしないで。せっかくママの為の歓迎会なんだし、たまには羽を伸ばしておいでよ」
初出勤から3日が経過したこの日、亜美は職場の歓迎会に呼ばれていた。
これまで飲み会というものや、夜に家を空けることをほぼ経験したことのない亜美にとっては、その厚意をありがたく感じると同時に、若干緊張もしていた。
この3日間、社長である大川とは職場でほとんど顔を合わすことは無かった。
大川本人が言っていたように、ただ肩書きだけを与えられた社長なのだ。日中、大川が何をしているのか、他のスタッフ達も詳しくは知らないようだった。
しかし、今夜の飲み会にはその大川も参加する。
もちろん、飲み会の席で何かおかしなことをするとは思えないのだが...それでも、その場に居るとなると気まずさはある。
そして何よりーー。
「...でも明日は...お父様の...。だからなるべく早めに帰るようにします。じゃあ、行ってきます...」
そうして亜美は玄関を出ると、家の前に停車している一台の車に乗り込む。
「...お疲れ様です。すいません、わざわざ送迎なんてしていただいてしまって...」
「お疲れ様。いーのいーの、気にしないで。私は飲まないし、ちょうど方向も一緒だから...それじゃあ、行きましょうか」
そう言って車を走らせるのは、亜美の直属の上司にあたる安藤良子(43)。
安藤は、亜美が今後取得を目指す資格を持つ、現場の責任者だった。
飲酒をしない安藤は、亜美の送迎を買って出たのだ。
連休中、息子を連れて『じーじ』こと啓太郎の元へ帰省したり、日帰りではあるが近場へ家族旅行したりと、充実した日々を送っていた亜美たち一家。
そして亜美はついに、社会人としての一歩を踏み出した。
週3日、9時から15時までのパートタイム。
大川が社長ということを除けば、これまで学んだ知識を活かすことのできる環境。
新しい人との出会い。
そして利用者である児童達との触れ合い。
不安と期待が入り交じる中、初週はあっという間に過ぎ去った。
「...じゃあ健一さん、子供達のこと...よろしくお願いします。あんまり遅くならないうちに帰って来るつもりだけど...」
「いいよいいよ、家のことは気にしないで。せっかくママの為の歓迎会なんだし、たまには羽を伸ばしておいでよ」
初出勤から3日が経過したこの日、亜美は職場の歓迎会に呼ばれていた。
これまで飲み会というものや、夜に家を空けることをほぼ経験したことのない亜美にとっては、その厚意をありがたく感じると同時に、若干緊張もしていた。
この3日間、社長である大川とは職場でほとんど顔を合わすことは無かった。
大川本人が言っていたように、ただ肩書きだけを与えられた社長なのだ。日中、大川が何をしているのか、他のスタッフ達も詳しくは知らないようだった。
しかし、今夜の飲み会にはその大川も参加する。
もちろん、飲み会の席で何かおかしなことをするとは思えないのだが...それでも、その場に居るとなると気まずさはある。
そして何よりーー。
「...でも明日は...お父様の...。だからなるべく早めに帰るようにします。じゃあ、行ってきます...」
そうして亜美は玄関を出ると、家の前に停車している一台の車に乗り込む。
「...お疲れ様です。すいません、わざわざ送迎なんてしていただいてしまって...」
「お疲れ様。いーのいーの、気にしないで。私は飲まないし、ちょうど方向も一緒だから...それじゃあ、行きましょうか」
そう言って車を走らせるのは、亜美の直属の上司にあたる安藤良子(43)。
安藤は、亜美が今後取得を目指す資格を持つ、現場の責任者だった。
飲酒をしない安藤は、亜美の送迎を買って出たのだ。

