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セイドレイ【完結】
第48章 罪と罰

「...水野君、これは君が持っていてはくれないか?」
雅彦はそう言うと、亜美のスマホを貴之に渡す。
「...え?でもこれは...俺があんたに...」
「...あぁ。中身は全て確認した。だが君に持っていて欲しい。何かあった時はこれを持って警察へ駆け込め」
「俺がこれを...警察に...?」
「そうだ。『セイドレイ』に亜美が作ったアカウントのログインパスワードはもうこちらで控えてある。慎二にはこれからPCで作業をしてもらうから問題無い。ワシらがこれからどうなるか分からん。君に会うのもこれが最後になるかもしれない。動画が公開され、世間が騒ぎ出し、警察が動いたタイミングを見計らって、君はこれを証拠品として持ち込むんだ」
「おっさん...本気なんだな...?」
「疑っていたのか?ワシも舐められたもんだな...。君に不都合なことは一切供述しなくて良い。この件を知っていたが、ワシに脅されて口止めされていたとでも言ってくれ。そして、君が実際に見てきたことを、包み隠さず話すんだ。頼んだぞ」
「...分かり.....ました」
貴之は、雅彦の手から亜美のスマホを受け取った。
「...では、早速準備に入ろう。皆、表向きは普段通りに過ごすんだ。何かあればすぐに連絡してくれ」
こうして4人は解散し、それぞれ帰路についた。
健一が雅彦や慎二からの着信に気づいたのは、その少し後だった。
高級ホテルのスイートルーム。
律子と初めて夫婦の営みを交わした直後のことだ。
「...あれ?親父と慎二から着信...しかも何度も...」
「...『あなた』、どうしたの?」
ベッドで布団にくるまった律子が尋ねる。
「...ごめん。親父から着信あって。ちょっと掛け直していい?」
「もちろんよ。じゃあ私、その間にシャワー浴びてくるわね」
健一は雅彦に電話を掛け直す。
「...あ、もしもし?親父?ごめん、ちょっと出れなくて...」
健一の表情が、みるみるうちに変化して行く。
「...分かったよ。ついにこの時が...来ちまったんだな。俺なら大丈夫だ。あぁ。じゃ」
健一は電話を切った。
言葉では平静を装っていたものの、スマホを持つその手は震えていた。
「...律子の誕生日がまだ来てなくて、本当に良かった」
健一はそう呟くと、シャワーを浴びる律子の元へ向かったのだった。
雅彦はそう言うと、亜美のスマホを貴之に渡す。
「...え?でもこれは...俺があんたに...」
「...あぁ。中身は全て確認した。だが君に持っていて欲しい。何かあった時はこれを持って警察へ駆け込め」
「俺がこれを...警察に...?」
「そうだ。『セイドレイ』に亜美が作ったアカウントのログインパスワードはもうこちらで控えてある。慎二にはこれからPCで作業をしてもらうから問題無い。ワシらがこれからどうなるか分からん。君に会うのもこれが最後になるかもしれない。動画が公開され、世間が騒ぎ出し、警察が動いたタイミングを見計らって、君はこれを証拠品として持ち込むんだ」
「おっさん...本気なんだな...?」
「疑っていたのか?ワシも舐められたもんだな...。君に不都合なことは一切供述しなくて良い。この件を知っていたが、ワシに脅されて口止めされていたとでも言ってくれ。そして、君が実際に見てきたことを、包み隠さず話すんだ。頼んだぞ」
「...分かり.....ました」
貴之は、雅彦の手から亜美のスマホを受け取った。
「...では、早速準備に入ろう。皆、表向きは普段通りに過ごすんだ。何かあればすぐに連絡してくれ」
こうして4人は解散し、それぞれ帰路についた。
健一が雅彦や慎二からの着信に気づいたのは、その少し後だった。
高級ホテルのスイートルーム。
律子と初めて夫婦の営みを交わした直後のことだ。
「...あれ?親父と慎二から着信...しかも何度も...」
「...『あなた』、どうしたの?」
ベッドで布団にくるまった律子が尋ねる。
「...ごめん。親父から着信あって。ちょっと掛け直していい?」
「もちろんよ。じゃあ私、その間にシャワー浴びてくるわね」
健一は雅彦に電話を掛け直す。
「...あ、もしもし?親父?ごめん、ちょっと出れなくて...」
健一の表情が、みるみるうちに変化して行く。
「...分かったよ。ついにこの時が...来ちまったんだな。俺なら大丈夫だ。あぁ。じゃ」
健一は電話を切った。
言葉では平静を装っていたものの、スマホを持つその手は震えていた。
「...律子の誕生日がまだ来てなくて、本当に良かった」
健一はそう呟くと、シャワーを浴びる律子の元へ向かったのだった。

