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セイドレイ【完結】
第36章 審判
武田家のリビングは静まり返っていた。

雅彦達3人は、配信終了の画面の前でぼう然と立ち尽くす。

約1時間30分がこれ程長く感じられたことは無かった。


ようやくその中で、まず健一が沈黙を破った。


「…最後の…アレ…さ……本当…かな…?」

その声は震えている。


「…亜美が最初に姿を消してからもうほぼ3ヶ月近くになる。それから毎日あんなことをしていたなら、その可能性は大いにあるだろう」

雅彦はそう答えた。


「…親父は…親父はっ…何でそんな冷静で居られるんだよっ!?見てたかっ!?ちゃんと見てたのかよっ!!…あんな…あんなのって……」

「…今更何を寝ぼけたことを言っているんだこの馬鹿息子は」

「あぁ?!なんだよそれどういう意味だよっ!!?」

「あれは……本来ワシらが亜美にしてきたこと、しようとしていたことだろう。違うか?お前こそちゃんと見ていたのか?なあ?どうなんだ?自分らなら許されるが他人は許せないとでも?…亜美にとって地獄なのには変わらない。それをな、ちょっとばかし情が沸いたからと言って勘違いするな。思い上がるなよ。そんな愚かな奴はな………ワシだけで……ワシ一人だけで…十分だ」

「親…父…………」


雅彦は、今更ながら新堂に言われたことがまさに図星であったと再認識した。

今、自分達が蚊帳の外だからと言って、自分達がしてきた罪が消えるわけでも、忘れていいわけでもない。


「…しかしこれで、新堂の目的がはっきりしたな」


今回の生配信は、新堂から自分へのメッセージだ。
雅彦は、そう受け取った。

薄々そんな気はしていたが、これで決定的になった。
新堂は、亜美を妊娠させるためにさらったのだ。

雅彦が妊娠を偽装していた証拠が掴めないのなら、引き離してしまえばいい。
実に新堂らしい、大胆な発想だ。

そして、今日の配信がもし『ノンフィクション』だとしたなら、新堂はまた雅彦の力が必要になる、ということではないのだろうか。


雅彦は思う。

亜美は妊娠している可能性が高い。

ならばもうじき帰ってくるのでは無いか、と。

産婦人科医である、自分の元へと。


新堂はそれを利用するためだけに、早かれ遅かれ亜美を連れてここへやって来るであろう。

その時、雅彦はどうするのか。

医師として、そして一人の男として。

亜美とどう向き合うのだろうか。
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