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『公衆便所姫』
第1章 -1-

廊下に出る。
出てからすぐ、保健室が程近い所に水道がある事を思い出した。
タオルもハンカチも持ち合わせてはいないが、兎に角早く顔を洗いたかった。自分のものとはいえ、さっきまで胃の中にあった内臓液が、顔中に塗れていては堪らない……
「……臭ぇ」
つい、口をついて出てしまう。考えてみれば、前原のザーメンも混じってたんだっけ……
「クソ……」
授業中の廊下はしんと静まり返り、僕の足音だけがひたひたと静かに響く。
蛇口を捻り、じょぼじょぼとしか出ない水で両手を洗う。……冷てぇ。冷たすぎて指が千切れそうだ。
備え付けのシャボネットで泡立て洗い流せば、掌の悪臭は幾らかマシにはなる。が……今度はシャボネットの化学的な臭いがかなりキツく、吐きそうになる。
「………」
その両手のひらで零れないよう、水を受け止める。そして汚物塗れの顔を洗えば、ぬちゃり…とした感触。それと共にシャボネットの悪臭に塗れ鼻が曲がりそうになる。
出てからすぐ、保健室が程近い所に水道がある事を思い出した。
タオルもハンカチも持ち合わせてはいないが、兎に角早く顔を洗いたかった。自分のものとはいえ、さっきまで胃の中にあった内臓液が、顔中に塗れていては堪らない……
「……臭ぇ」
つい、口をついて出てしまう。考えてみれば、前原のザーメンも混じってたんだっけ……
「クソ……」
授業中の廊下はしんと静まり返り、僕の足音だけがひたひたと静かに響く。
蛇口を捻り、じょぼじょぼとしか出ない水で両手を洗う。……冷てぇ。冷たすぎて指が千切れそうだ。
備え付けのシャボネットで泡立て洗い流せば、掌の悪臭は幾らかマシにはなる。が……今度はシャボネットの化学的な臭いがかなりキツく、吐きそうになる。
「………」
その両手のひらで零れないよう、水を受け止める。そして汚物塗れの顔を洗えば、ぬちゃり…とした感触。それと共にシャボネットの悪臭に塗れ鼻が曲がりそうになる。

