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炎の王妃~月明かりに染まる蝶~
第13章 恋しさの香り
 低い嗚咽を洩らし、オクチョンは自嘲気味に思った。




―これだけ泣き暮らしても、人間の身体がひからびることがないのは不思議だわ。





 オクチョンはもう昨日から、かれこれ一日以上、この有り様だ。泣き続けたせいで、眼は紅く腫れ上がり、ついでに鼻まで紅くなっている。傍目にはさぞ、みっともない面体になり果てているだろう。
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