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第1章 相田 花奏(あいた かなで)

裕子は樹と同じ部署だから、会う度に色んな話を聞かせてくれた。
出張の事も知っているから、こうして家で一人でいる私を誘ってくれた。

「で、樹さんと結婚して何年経つんだっけ？」
「もう、3年になったよ。」
久しぶりに外で飲むビール。裕子は、すでに3杯目。

「そっか？花奏が辞めてから3年経ったんだね。
ところで、そろそろおめでたい話とかさ〜。」
裕子が、興味深げに聞いてくる。

いつも家にいるせいか、たまに外に出るのも悪くない。
ガラス越しに、背広姿のサラリーマンや会社帰りのOLの姿が目につく。

「あははは。そうだね、そんな報告したいけど、残念ながら〜」
私は舌を出しておどけた表情をした。