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愛おしいキミに極甘な林檎を
第30章 低俗な野望と片思い

「謝るのは僕の方ですよ……」
手首に貼った絆創膏を見てから理人さんは優しい笑みを向けてくれた。
滅多に見せることのない笑顔を見て少しだけ心が苦しくなったけど、しばらく泊まる分の荷物を持って祖父の家をこっそり出た。
ソラ先輩の家に着いたのは辺りが暗くなった頃だった。
寝ていることも想定してインターホンを押さずに合鍵を使って入り、寝室へ向かう。
すると起きていて瞼を重たそうにしていたから物音で起こしてしまったようだ。
「風子……、待ってたよ。元気がなさそうだけど大丈夫?」
穏やかな声で先程まで張り詰めていた気が緩み、安堵した私はソラ先輩の胸に飛び込んだ。
ゆっくり休んでいたようなのに昨日と体温が変わらない。
「ソラ先輩……」
「何かあったの?」

