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愛おしいキミに極甘な林檎を
第63章 愛おしいキミに……



「そうか……。潮崎は何も知らないんだよな……」


ぼそりと呟いた郁哉さんは自分のデスクの前に横向きにくっついている席を見て寂しそうな顔をしていた。


その机の上にはかつてあった沢山の書類が挟まったファイルさえも置いていないし、椅子の背もたれにひざ掛けもかけられていない。


様子を見に郁哉さんが顔を向けるとキョトンとした顔で首を傾げてから笑みを向けてくる部下の姿を見れる日常も消えた。


最後に飾っていった白い桔梗も既に枯れてしまって何も入っていない花瓶だけが棚の上に飾ってある。



「何回か、元気にしてる?って送ったんですけどそれも無視なんですよ。幼馴染でもある同僚にこの扱いって酷くないですか?」


「どれどれ。なんて書いて送ったんだ?」


「えっ……?まぁ、やましいことは何も書いてないのでいいですけど。えーっと……、これです」


潮崎さんはポケットに入れていたスマホを取り出して、LOINEのメッセージ画面を開いて郁哉さんに渡す。


しかし、その送信したメッセージをじっくりと読まずに別の場所を押していた。


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