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愛おしいキミに極甘な林檎を
第40章 婚約者として……



それから時間が慌ただしく過ぎていって数日が経った。


現実を受け入れていくことで精一杯で余計なことを考えている暇はなかった。



終わりが見えた頃に向かったのは初めて行く場所。


目的地に着く前に海が見えて嬉しい気持ちになったけど喜ぶ時ではない。



車を降りて坂を上り、広いところへ着くと名前が刻まれた石がたくさん並んでいた。


空を見上げると雲は高くて、吹きつける風はすっかり冷たくて冬が近づいてきている。


その風に乗って届いたのは鼻に残る切ない香り。


同時に黒いワンピースがふわりと揺れた。



苗字が刻まれた墓石に向かって大勢の人が拝んだ後に私も手を合わせる。


他の人が歩いていく中、理人さんだけが立ち止まって私を待っていた。



「風子さん、大丈夫ですか……?」


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