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愛おしいキミに極甘な林檎を
第38章 真実と愛のかたち

今日はなんて日だ。
朝から心が落ち着かない。
最初はとても緊張していたけど、今は胸が躍るような落ち着かなさに変わっている。
新しい一歩を踏み出した時と同じような気持ちに……。
祖父の家からソラ先輩が運転する車に乗って帰る時、私は助手席に深く座って外を眺めていた。
空は曇っているのに、見慣れた景色が来た時よりもどことなく澄んで見える。
「長い時間正座をしてて疲れたかい?」
「足も痺れましたけど色々ありすぎて頭が混乱してます……」
「用事も終わったことだし、どこか行きたいところはある?」
「前に夜景を見に行った公園に行きたいです。歩きたいですし、広いところでのんびりしたい気分なので。……年寄りくさいですかね?」
「健康的でいいと思うよ」
公園に連れて行ってもらい、車を降りて二人で歩く。
一面の芝生と公園を囲んでいる木々の綺麗な緑色に心が休まる。
暗い時にしか来たことがなかったから、学校の校庭よりも広々としていた場所だとは知らなかった。
木製のベンチに座っているカップルもいれば、芝生の上で走っている子供もいる。
のどかな光景を眺めながらあてもなく歩いているところで私は話を切り出すことにした。
「お盆休みの時に海外に行っていたのって、本当は仕事ではなくて私の血の繋がった父と母に会いに行くためだったんですか?」

