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愛おしいキミに極甘な林檎を
第37章 幸せな日々とその奇跡まで

「いいえ、大きな仕事を任されたりはしていないので。……祖父がちょっと可哀想だなって思って」
「風子は優しいね。お爺さんのことが気になるんだ?」
「気になるって言ったら怒りますか?」
「若い男だったらいい気はしないけど、血の繋がっている年を取ったお爺さんだったら何とも思わないよ。特に今はね」
きっと祖父との戦いに勝って私を取り戻したから気にならないんだろう。
幸せを改めて感じた私はふふっと笑った。
「頑固で怒りっぽいですけど悪い人ではないんですよね。私の幸せも考えて結婚する条件ものんでくれましたし、多少我儘も聞いてもらいましたので」
そう言うとソラ先輩は真剣な顔をして私を見てきて両手に触れてくる。
「忘れたの?お爺さんは幼かった風子のことを置いて逃げて行った人の親なんだよ」

