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きっかけは映画館
第13章 金曜日
「麻里絵ちゃ〜ん、チケットもう取ったから、こっちこっち〜」
ドリンクコーナーからヒジオに呼ばれる。
「だから大きな声出さないでよ。子供じゃないんだから、麻里絵ちゃんなんて呼ばないでよ。」
「じゃあ、間宮さん?
間宮 麻里絵さん?」
「フルネームは、やめて…」
そこには出来る男、土方 肘男…もとい久生の影はなく、大型犬みたいなヒジオがいた。
「やっぱりそうだよね〜。
間宮 麻里絵…イニシャルM・M…
まみや まりえ…
なんかマ行から後半ばかりだね。」
ああ、それ嫌…昔から…名字と名前がごちゃごちゃしてて…
「あんただって、ひじかた ひじお じゃない。しっかり韻を踏んでるし。」
「ヒジオ…じゃない。麻里絵ちゃんにだけだから、そんな呼び名許すの…」
ヒジオはしょんぼりスタンプになっている。
へん、そのくらい大人しくしてなさい。
ヒジオが差し出すチケットを引ったくって場内に先立った。

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