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写性 …SHASEI…
第6章 誕生日

父娘のそれか、恋人の愛かもはっきりさせないままに告げていた。
「お父様…沙絵のこと好き?」
「好きだよ。」
「私もお父様大好き、ずっと一緒にいてね。」
「もちろん、ずっと一緒にいるよ。
さあ、ご飯の支度をしようか…」
「はい。」
ベッドから出てしまえば、妖しい雰囲気になることはなく、普通の1日が始まる。
隣で遊ばせながら絵を描き、午後は沙絵の遊びに付き合う。
ひらがなで手紙を書けるほど利発な沙絵に勉強の時間も作る。
幼稚園に行かせてないだけで、他はまったく普通の親子だった。
お父様が私のことを沙織と呼ぶ。お母様にそっくりだとは皆から言われていたから、間違えても仕方ないと思う。
お母様を死なせてしまったのは私、お母様がいなくて寂しいお父様に間違えられる。
間違えたことを謝るお父様、間違えてもいいよ。お母様だと思っていいよ。
お母様を死なせてしまったのは私だから、私に出来ることは何でもするよ。
そうやって私を大事にしてくれるならそれでいい。お父様が大好きだから…
お父様が私に愛してるって言った。真剣な目だったけど、それは、お母様への代わりに言ってるとわかった。

