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夢…獏の喰わぬ夢
第8章 変化
「午後はいなくても分からないあの教授だし行こっ…」
返事を待たずに、彼女は僕の手をとり、ずんずん歩いて駅に向かった。
自分が情けなくなり、
「ゴメン、僕がしっかりしないとだね。」
と謝った。
彼女は驚いた顔をして、しばらく黙っていた。
他に言葉が見つからず、僕は彼女の手をぎゅっと握った。
「あの、私、間違えてないよね。
あなたのこと決まった人と思っていていいよね。」
とても小さな声で、自信なさそうに彼女が呟いた。
僕が思うように彼女も不安に思っていたのだ。
「ごめん。
僕も訊きたい、僕は君のこと決まった人と思ってていいかな。
僕は君を友達や仲間とは思っていない。
特別な大事な女性だと思っている。」
「うん、ありがとう私もよ。」
何だか照れくさいがとても嬉しかった。
駅に着くと、彼女は
「図書館は私に任せて、」
と渋谷に行くことになった。
彼女には嫌な思い出の場所ではないのだろうか。
電車に乗ると彼女はずっと登山の夢の話をしていた。
僕は渋谷はあまり行ったことがないので、駅を出ても彼女について行くだけだった。

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