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アムネシアは蜜愛に花開く
第6章 Ⅴ アムネシアは蜜愛に花開く

 わたしの唇には、CM撮りで巽に塗られた溺恋のアムネシアローズが薄紫色に移ろい、それを見た巽にたっぷりと貪られたけれど、巽に色が移らないのはCMで証明済みだ。

「んん、あああっ、巽、ぁああ……っ」

 わたしから甘ったるく、そして切ない声が響く。

 巽のアムネシアの匂いに欲情する。
 触れる肌が火のように熱くて、身体が蕩けてしまう。

 巽はベッドに座り、わたしの背後から回した片手で乳房を揉みしだきながら、胸の先端を指先で摘まんでは捏ね、小刻みな震動を与えてくる。

 そして反対の手でわたしの片足を下から持ち上げるようにして、濡れた秘処をぐちゃぐちゃと音をたてて掻き混ぜながら、わたしの耳朶を口に含んで音をたててなぶっている。

 わたしは身体を仰け反らせながら片手でぎゅっとシーツの渦を作り、官能の波に揺蕩いながら、巽とどうしても唇を重ねたくなり、自分からキスをせがみながら舌を絡めて腰を淫らに揺らすと、巽の指が蜜壷の中にぬぷりと埋まり、ゆっくりと卑猥に出し入れされた。

 久しぶりのこうした戯れに、全神経が巽の愛撫に集中してしまい、じんじんと甘い痺れが広がってくる。

「ああ……」

 わたしから、甘いため息のような声が絞り出された。
  
「可愛いな、キスだけでこんなに垂らして。聞こえる? この音」

 ぐじゅ、じゅぽと卑猥な水音がわたしの体温をさらに上げる。

「やぁっ」

 濡れなかったはずのわたしの体は、巽を求めてこんなに濡れている。

「やじゃねぇだろ、アズ。ほら、中なんてこんなにうねって俺を誘ってる。溺恋をつけたら、また感度があがったんじゃねぇか?」
「それは……巽が、キスをたくさん……するから」
「今まで我慢してきたんだ。それに……、お前がつけた口紅が、欲情を煽る。ずっと、お前の唇を……お前すべてを奪いたくて仕方がなかった。なんてもんを考え出したんだよ」

 頑張って作って来た溺恋を、誰より巽にそう言われると感無量だ。
 巽を欲情させたくて作りたかったものだから――。

「巽を……」
「ん?」
「巽に欲情して貰いたかったの。溺恋は、巽を想って……」
「……っ」
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