この作品は18歳未満閲覧禁止です

- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
秘密のピアノレッスン
第12章 きよしこの夜

クリスマスイブの日は終業式で、年内最後のピアノレッスンがあった。
母は朝から旅行の支度をしていて、機嫌も良い。
そんな母を横目に、私はベーコンエッグとトースト、ホットミルクといちごを食べて、学校に行く支度をした。
「今日のピアノレッスンが終わったら、おばあちゃまのお宅へ行くのよ。きちんとご挨拶しなさい。電話しておきましたからね」
はい、と返事をし、雪が降りそうな空の下、学校まで歩いた。
私が携帯を持っていないから、先生とは連絡を取り合えない。
「いつでもおいで」とは言ってくれたけれど、どういうタイミングで行けばいいのか悩んでしまう。
母を欺いて行くのも、あまり頻繁にはしたくないし、先生にも迷惑になったらと思うと……。
私が、先生とそういう関係になってしまったことは、誰も知らないんだなあ……。
あんな素敵な大人の男の人が恋人だなんて、学校のクラスメイトも、母も、佳苗先生も――。
佳苗先生の顔を思い浮かべたら、胸がちくりと痛んだ。
もし私と先生の関係が知れたら、佳苗先生はどう思うのだろうか。
正直なところ、手放しに喜んでくれる気はしない。
憧れの恋が実って円満なハッピーエンドとなるのは、童話の中だけなんだろうな……。
母は朝から旅行の支度をしていて、機嫌も良い。
そんな母を横目に、私はベーコンエッグとトースト、ホットミルクといちごを食べて、学校に行く支度をした。
「今日のピアノレッスンが終わったら、おばあちゃまのお宅へ行くのよ。きちんとご挨拶しなさい。電話しておきましたからね」
はい、と返事をし、雪が降りそうな空の下、学校まで歩いた。
私が携帯を持っていないから、先生とは連絡を取り合えない。
「いつでもおいで」とは言ってくれたけれど、どういうタイミングで行けばいいのか悩んでしまう。
母を欺いて行くのも、あまり頻繁にはしたくないし、先生にも迷惑になったらと思うと……。
私が、先生とそういう関係になってしまったことは、誰も知らないんだなあ……。
あんな素敵な大人の男の人が恋人だなんて、学校のクラスメイトも、母も、佳苗先生も――。
佳苗先生の顔を思い浮かべたら、胸がちくりと痛んだ。
もし私と先生の関係が知れたら、佳苗先生はどう思うのだろうか。
正直なところ、手放しに喜んでくれる気はしない。
憧れの恋が実って円満なハッピーエンドとなるのは、童話の中だけなんだろうな……。

