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この香りで……。
第12章 口紅
「もし……もし……?」
『あれ……奈々葉、今、どこ……』
美希からだった。
「ああ、私、会社に来てる。久しぶりだから、ちょっと早くね」
『ああ、なんだ……』
電話はすぐに切れた。
「美希……じゃなくて……坂村さん……」
「ああ……そうか?」
カツカツという音が近づいて事務所の前で止まる。
ガチャっと事務所のドアが開く音のあと誰かが覗き込んだ。
「おはようございま……す。電話したら事務所から奈々葉と同じ着信音が…………あっ……」
美希の声だ。奈々葉たちはその場からさっと離れて、乱れたビジネススーツと髪を整える。
『あれ……奈々葉、今、どこ……』
美希からだった。
「ああ、私、会社に来てる。久しぶりだから、ちょっと早くね」
『ああ、なんだ……』
電話はすぐに切れた。
「美希……じゃなくて……坂村さん……」
「ああ……そうか?」
カツカツという音が近づいて事務所の前で止まる。
ガチャっと事務所のドアが開く音のあと誰かが覗き込んだ。
「おはようございま……す。電話したら事務所から奈々葉と同じ着信音が…………あっ……」
美希の声だ。奈々葉たちはその場からさっと離れて、乱れたビジネススーツと髪を整える。

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