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第4章 美しい妻

真奈は困ったようにため息を吐く。


本など、好きにならなければ良かった。

本棚に並ぶハードカバーの小説たちを恨めしく眺めた。



小学生の時から、本の虫だった。

両親の影響だろう。


壁一面の大きな本棚にびっしりと並んでいた本に囲まれて育った。


高校生になった頃、自分でも書いてみたい衝動が生まれた。

書けば誰かに読んで欲しい。


でも、甘い恋愛小説を自分を知る人には見られたくはない。



初めてネットで公開をしたのは処女作とそのスピンオフ二本。

思っていたよりも好評だった。



気を良くして次々と書いては公開を進める。


両親の死からは書く気も無くしてしまったが、結婚の為に寿退社してからは暇をもて余し再び再開。