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あなたの胸の中で眠る花
第6章 縮まる距離

玄関を出ると、ちょうどマスクをした一条さんが部屋の鍵を開けようとしていた。咳をしていてなんだか苦しそう。

「あ、片瀬さん…ゴホッゴホッ…おはよう」
「おはようございます…大丈夫ですか?」
「ああ…ゴホッ…大丈夫」

全然大丈夫じゃなさそう。汗かいてるし、顔も少し赤い。
一条さんは鍵を差し込もうとしているが、なかなか入らない。しまいには鍵を落としてしまった。見かねた私が代わりに鍵を拾い、鍵穴に差し込んだ。

「あ…ありがとう」

力無く礼を言う一条さん。すごくしんどそう。一人で部屋入れるのかな?心配になったので、一条さんに言ってみた。

「あの…部屋まで連れていきますよ?」
「いや…大丈夫だよ…ゴホッゴホッ」
「全然大丈夫じゃないです、掴まってください」

そう言って一条さんの腕を掴み、引っ張るように部屋へ連れていく。服の上からでも伝わるくらいの熱。相当辛いはず。早く寝かせなきゃ。
お邪魔します、と言いながら一条さんの部屋に入り、ベッドに座らせた。部屋の中はシンプルで、必要なものしか置いていないようだ。

「上着、脱いでください。あとマスクも。熱こもっちゃうから」

一条さんはボーッとしながらも、言われた通りにしてくれた。限界だったのか、倒れるようにベッドに横になった。

「病院には行きましたか?」
「いや…まだ…」
「市販の薬は持ってますか?」
「…持ってない」
「…ちょっと待っててください」

私は一条さんの部屋を一度出て、自分の部屋に戻った。
冷たいお茶と氷水の入った袋を用意して再び一条さんの部屋に入った。

「これで冷やしてください」

氷水をおでこに当て、持っていたハンカチで押さえる。
やばい、もう出ないと。今日はシフト人数少ないから出勤しないといけない。でも一条さんを一人にするのは心配だ。

…迷った結果、鞄を持って彼に告げた。

「また来るんで、お茶、飲んでくださいね!」

一条さんの左手が軽く上がった。それを確認した後、慌ただしく部屋を出た。


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