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かごのとり ~ 家出娘の家庭事情 ~
第26章 運命は・・・先着順?
『それじゃ…そこで電話してくる
すぐ戻るね・・・』




マリアは俺にスマホを返して
駅のロータリーから
少し離れた所にある
電話ボックスを差した



今や超貴重とも言える
公衆電話ってヤツだ



事情を…隅から隅まで話はしなくとも

マリアのやつ

両親の・・・お母さんとかの
声聞いただけで

泣いちまったり…なんか
するかもしれねぇしな?



人目をはばかる…じゃないけど


遮られた空間のが
電話もしやすいよな…きっと




『うん・・・この辺で待ってる』




タクシーも丁度出払っている
がら空きの駅のロータリー


周りにはほとんど誰も…
離れた所に終電でも逃したのか

スマホいじってプラプラしてるヤツだの
喫煙所でタバコふかしてる男が
一人、二人いるくらい


そんな…都心にしては人気も
騒音も少ない夜の駅で

俺はタクシー乗り場のガードレールに
腰掛けながら…少し深呼吸してた




『フゥ・・・』




マリアが・・・戻って来たら

ホテルに届けて



しばらく・・・お別れだ



〃しばらく〃・・・



だけど



これが・・・正しいんだ



マリアの両親がマリアを救済してくれれば
何よりも安全なんだ


変な意地になったり
強行して

俺が無茶な匿い方をするよりも
お互いにとって

なにより

マリアにとって・・・安心で安全な

最善の方法だから





寂しいのは・・・ほんの少しの間だ





いつか・・・その日が来たら



俺とマリアの願いが
叶う…その時には



きっとすぐに忘れちまう



思い出にさえなる



きっと、そんな



つかの間の・・・寂しさだから
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