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第29章 果たされぬ・・・約束

『良い人がいたら…一緒になって
ちゃんと…結婚して

パパになって・・・幸せに…ってさ

事情も知らない…エリカなんかが見たらさ
この人…自分が遠くにいなくなる

もう会えない…から
まるで…自分が死んじゃうみたいなさ

でも・・・それくらいの覚悟もって
それでも…出した答えがそれだから

それでも望むのがユウトの幸せだから
だからこう書いたんじゃんか』






『・・・』






『この人…心の中そのまんま
裏表ないことばっか書いてる

エリカにだって…わかる
伝わって・・・くるよ

って言うかさ！
エリカみたいな他人にも

ってか…エリカみたいなバカでも
わかるのにっ

この人といたユウトが
わかんないワケないじゃんか！！』






『・・・』



ストレートで…それこそ表裏のない

真っ直ぐな言葉は

俺の胸を容赦なく叩いた






『この人は…ユウトといたことを
なにも後悔もしてないし

ムカつく…とか…えっと、そーゆー…
恨んだりとか…何一つしてない

なのに・・・ユウトは
ずっと…後悔とかしてるの？

自分を悪者にして…いじめて
寂しそうに…悲しそうに

そうやって生きてくの？！』






『・・・俺は…』






『変だよ…そんなの、ユウトは…』





『・・・』






『他人(ひと)の幸せは…願えるのに』








『・・・』





『自分は…ちっとも幸せでも

なろうとも…しないんじゃんか…っ』







『・・・なれるかよ、そんなもん』















『かわいそうだよ・・・』








『・・・ぇ』











『最後の最後まで…力振り絞ったみたいな

こんな大切な言葉が

一番届いて欲しい人に…届かないなんて』







『エリカ・・・』










『この女性(ひと)が…っ

かわいそうだよっ・・・！！！』