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女王のレッスン
第4章 ■仕事のケンガク
呆けて帰った昨日の夜、ご飯も禄に喉を通らずに、眠ろうとしても数時間おきに起きてしまって朝を迎えた。
夢心地、だけど一緒に心にかかった靄もそのままで、また今日は瑛二さんの仕事に同行する。
こんな気持ちのままで行くことになるなんて。シャキッとしないと絶対なんか言われてしまう。
結衣子さんか稜くんに、ちょっと話でもしていけたらいいな。気が紛れるかもしれない。
稜くんからの連絡の通り、裏道に逸れて少し。ちょうど雑居ビルの真裏に当たる場所。
小さく『8 Knot』と書かれた裏口のドアの鍵を開けて中に入った。
時刻は曖昧に指定された1時を少し過ぎた所。念の為ちょっと前に結衣子さんに電話したけど不通だった。
休憩スペースを抜けたけどない。客用の着替えスペースというそこにもない。店内かな。
そちらに繋がるカーテンに向かおうとした瞬間、声が聞こえた気がして自然と耳をそばだてる。
はっきり聞こえないけど電話中とかだろうか。
なんとなく音を立てないようにカーテンを開けようとした。ら。
「――い出した。連れ出された夜……」
「あっ……!」
稜くんの声。と、すぐ後に明らかな、喘ぎ声。わかった瞬間全身に緊張が走ってその場から動けなくなった。
「……結衣子さん?」
てことは稜くんと結衣子さん!?なんで!?昨日の今日で!?
微かに縄の擦れる音も認識。
もしかして結衣子さんが稜くんに縛られてる……?
見ちゃいけないと思う一方で気にもなって、バッグをそっと床に置いた。
カーテンを細く開けて覗いた先、小上がりになった場所にある格子の引き戸が開け放たれている。
そのベッドの上にはこちらを背に縄尻を纏め上げる稜くん。
そしてその先には、向こうを向いて縄に抱かれる結衣子さんの腕がちらりと見えた。
「完了。新しい縄、不快なとこあります?」
「い、え……肌触りもいいし、問題、は……」
「よかった、じゃあ解きます。縄取りにルカ来るし」
急に名前が出て心臓が跳ねる。
気付かれてはいなさそうだけど、結衣子さんの様子は、明らかに……

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