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色絵
第11章 無花果
僕がそうに育ててしまったから、いきなり辞められず、無下に突き放せずにいますが…
沙絵には親子の愛情と男女の愛情の区別がない。
同じものだと教えてしまったから、簡単には突き放せないのです。」
「先生…先生はズルいっ…」
「そうですね。
でも、貴女は、ご主人とすぐに別れられますか?
僕だって辛いんですよ。
でも、貴女を愛しているから、沙絵に少しずつ離れるように今しているところなんです。
貴女もわかっているんじゃないですか?
性癖も体もこんなにぴったり合う相手は、そうそういない。
いや…
他にいないと言ってもいい。」
「先生…ワタシだけを…」
「今、そのために努力しているんです。もう少し待ってもらえませんか…
頭では理解できなくても、体はわかってますよね…
そろそろ薬が効いてきてるでしょう。
薬のせいにして僕を求めても構いませんよ。」
「いや…先生がワタシだけを愛してると言ってくれなければ嫌…」
「そうでしょうか…
欲に流されてしまいなさい。」
ワタシの全てを知る指が、腰から脇腹を往復する。
っふぁ…嫌…
「せっかく百合になったのに牡丹に戻ってしまうのですか?」

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