この作品は18歳未満閲覧禁止です

- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
淫の館
第6章 脱走

そして私はもう1つのことをした。
髪を抜いて障子扉とはめ殺しの窓の間の桟(さん)に置いた。
ここに来てからの日数分、同じような毎日で日付の感覚がなくなりそうだったから、今日で13日、明日で2週間になるところだった。
始めてから数日でそんなことも出来なくなるとは知らずに…
開けたついでに庭を見た。芝生と竹林しかない庭。
土山に火柱が立っていたのを思い出す。
私の全てが燃やされた炎。
あれから2週間、何度も抵抗したつもりだったけど、何も変わっていない。
あの日、世俗との、日常との繋がりを断たれてから何も変わっていないのだ。

