この作品は18歳未満閲覧禁止です
国王の契約花嫁~最初で最後の恋~
第19章 嵐の予感
カンは言葉もなく頷いた。その淋しげな笑みに心が抉られるようだ。カンは子どもの頃、母大妃が父の側室を鞭打ち流産させた現場を見ている。そのことでも、小さな胸を痛めたのだと話していた。
「考えてごらん。たとえ側室の生んだ王子とはいえ、叔父上の生母はれきとした王族だ。血筋だけからいえば、よほど私などより尊い立場なんだ。だから、母上は父上をせっついて淑嬪とまだ幼かった承誠君を陽の当たらない場所にさっさと追いやったのさ」