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囚われの城
第9章 変化する気持ち
そしてついに、日曜日になった。
紫苑から連絡があるまで、瑠菜はそわそわしながら待っていた。
どうせなら練習試合を見学に行きたかったな。
「あれ?瑠菜ちゃん、お出かけ?」
「あっ…あの…」
「デート?」
「はい…」
「ふふ。あんまり遅くならないようにね」
龍はにっこり笑いながら、洗濯物をカゴに入れてベランダに出た。
鼻歌なんか歌いながら洗濯物を干している龍。
なんだかその姿が面白かった。
【遅くなってごめん!これから遊べる?学校の前のコンビニにいるんだけど】
紫苑から連絡があったのは、夕方5時過ぎだった。
中学生のデートでこの時間からって…。
瑠菜は二人でショッピングしたり映画を見たりするのかなと思っていただけに、ちょっとがっかりした。
「龍さん、行ってきます」
「うん。ご飯は?」
「済ませてくると思います」
「8時までには帰ってきなよ?行ってらっしゃい」
この日のために龍に買ってもらった服。
チェックのスカートに、白いシャツとデニムのジャケット。
ブラウンのショートブーツを急いで履いて、家を飛び出した。
この日をきっかけに、瑠菜があの屋敷のことで苦しむことになるなんて、思いもせずに…。

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