この作品は18歳未満閲覧禁止です

- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
***堕散る(おちる)***
第37章 step37 三十一段目 地上階2F
フワッと上がったところを箸でまとめていた。
「それ、やってみたい。」
「はい、どうぞ。」
真似てやっていく。上がるかき揚げをまとめるのは、生き物を追いかけるようで面白かった。
「今日も豪勢だな。」
「茶碗蒸しもありますよ。」
「今日は焼酎にしようかな。」
「いただきます。」
「熱っ、空豆のかき揚げ美味しいですよ?」
「うん、美味い。」
食べながら、記憶の鍵のことを考えていた。
事務所も公園もルリの実家も、引き金にはならないし、旅館での料理を模しても効果はない。
あと思いつくのは、クリスマスに出掛けた場所と旅館くらいだ。
もし、それを試しても戻らなかったら…
記憶を取り戻すということは諦めた方がいいのか?
それならそれでいいのかもしれない。
記憶がなくてもルリは俺と一緒にいると選択した。
記憶があった時と同じように…
「そろそろ、お母さんに電話してみようか…」
「はい…」
「大丈夫だよ。話を合わせて返事すれば…
俺が代わってもいいし、
お母さんがどうしてるか心配だろ?」
「う…ん…」
ソファーに腰掛け、ルリの携帯から電話させた。

作品検索
しおりをはさむ
姉妹サイトリンク 開く


