この作品は18歳未満閲覧禁止です

- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
華の王妃
第8章 女官長
なのに、王から深い寵愛を受け大切にされているのに一向に心を開かない
王妃に日々苛立ちは募るばかりだったが同じ女として愛し愛された夫から引き離され
子まで失った王妃には同情する一面もある。
ただ王第一のマールとしてはすでに王妃として迎えられ死産とはいえ子まで
成した仲となったのだからせめて王に笑顔の一つでも向けて欲しいと思うのは
いけないことなのだろうか。
たまに非難がましいような、マールに対して思うことのあるような表情を向ける
王妃にマールはつい冷たい視線を向けてしまうのだった。
「あれでは王妃様もお心を閉ざしてしまうのは仕方のないことでございますわ。」
ユリウスの許に王妃の為の薬湯を取りに来た女官はいつものように王と王妃の閨の
出来事をユリウスに報告する。
「王はまた無体な真似をなされたのか?」
王妃の飲みやすいように果実水に煎じたものを入れかき混ぜたユリウスは
怪訝そうな顔を女官に向ける。
「まぁ、いいえ。これは申し訳ございません。王様のことではございませんわ。
昨夜の閨も王様は王妃様が歓喜の声を上げてしまうほど熱心に愛されて
おりました。あまりの激しさに王妃様は起き上がることが出来ずにいるのを
王様はゆっくり寝かせてやれと仰って。」
「そうか。それはなによりだね。ただ王妃様はやっと回復されたばかりだ。
こうも王のご寵愛が激し過ぎるとその後におよろしくない。あまり続くようなら
後宮へも足を向けるよう私からも進言するが。」
ユリウスの言葉に女官は、まあ、と言うと
「それはいけません」と言った。

作品検索
しおりをはさむ
姉妹サイトリンク 開く


