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契約的束縛・誘惑なる秘密
第24章 香港ー周到なる罠
(仁科様ではないが判断ミスだった。
でもそんな言い訳が通用する筈がない。自分の到着が遅れたが為に、本郷と宮野は怪我してしまったんだ)
自分らしからぬミス。
責務は完璧にが心情なのに、何故こんな凡ミスをしてしまったのだろう。
今更飛ぶ物が苦手の筈もなく、ただ日本の空港で悪目立ちしたくなかったからビジネスクラスを選択。
……これも言い訳か。
「……どうぞ」
「ありがとう。ルークの淹れるお茶は、何れも美味しいから」
「恐縮です」
「何時まで……何時まで敬語なのルーク?
にし……コンラートには多少敬語を崩すのに、私には一切崩さないよね」
「この場所には人は来ません。普通の呼び方で大丈夫かと思います八神様」
「はぐらかされたかしら?」
「そういう訳では……」
敬語は昔からの癖であり、意識して話している訳じゃない。
ましてや盟主である八神様に、敬語以外で話す事も出来ず。
仁科様に対して崩れるのは、過去に散々遊ばれたせいで、此もまた意識してやっているんじゃない。
「私だけ敬語って、なんかね、こう距離を離されている感じがして……」
「…………」
やっと自分に目を向けてくれたかと思えば、一番答えにくいこの話とは参った。
距離を離しているとは思って……いや、離しているのだろうか自分は?
八神様に持つ自分の心、これを隠していたい為に、自分は八神様を盟主として扱ってはいないか??
「……ルーク」
ずっと動かなかった八神様がソファーから立ち上がり、自分の方へと向かって来る。

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