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愛おしい貴方・作品SS集
第9章 あの日の夜の真実(契約的束縛)
「本当に脆い‥
これでは私の腹の虫すら収まらないでしょう‥‥」
既に命無き"物"に、次々に風の力を叩き付ける‥
場所など何処でもいい、ただ切り刻まなければ私の気が済まない‥‥
私自身は一歩も動く事なく、風の刃は刀谷の躰に無数の傷を付ける‥
無慈悲に容赦なく、切り刻むように・・
どれくらいの時間、ただの物と化した刀谷の躰を傷め付けていただろうか?
飛び散る血飛沫を呑気に眺めていたら、突然それは起こった!
「・・・っ!?」
急に力のバランスが狂う!
やはり遺跡から離れた外、それも今の力の源は美波の少量の血‥
これだけで、力を使い過ぎたか‥‥
「・・不味い‥ですね・・」
私は決して全能では無い‥
力を使えば、血の飢えが起こる‥これが枷、神に近いが神になり切れない稀少種の・・
「はぁ‥
仕方‥ありませんね」
目の前にある餌‥
アジア人で男、私の好みとはかけ離れているが、今は贅沢も言っていられない。
私は初めて歩く、命の無い刀谷の側に‥
「・・・・・」
躯に手を翳すだけで良い、それだけで刀谷の血は私に吸収される‥
思いっ切り不本意だが・・・

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