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第3章 束の間の晴れ間

中に入ると、そこは畳のいい匂いがして、正面には綺麗に整えられた日本庭園がガラス越しに見えた。
大きな松が主役の顔をしてどんと腰を据えている。

着物を着た女性が深く頭を下げ出迎えてくれた。
「ようこそおいでくださいました」

戸惑いながらも、その女性に連れられ廊下を進み、【牡丹】と書かれた部屋へと導かれる。
窓の外には檜で作られた露天風呂が備え付けられ、そこからも主役顔の松が大きく見えた。

「ごゆっくりお寛ぎください」
一通りの説明が終わると女性は静かに部屋から出ていった。

「蒼太くん、どういうこと？」

「足だけじゃ足りなくなってね」
温泉のことを言っているんだろう。

「一緒に入ろうか」