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エリュシオンでささやいて
第8章 Staying Voice

「すげぇ。後から後から溢れてくる」
「……っ」
「は……お前の匂いに包まれて、幸せ」
「へ、変態!」
「俺の愛を変態と同じにするのか、お前。そんなこと言うと……」
鼻を啜られて匂いを嗅がれたから、あたしは羞恥に悲鳴を上げる。
「隠すなよ、俺には。そのままのお前がいい」
彼は蕩けるような眼差しで笑い、また顔を寄せた。
細められた舌先は花園を蹂躙して、花芽を抉る。
声を上げるしか出来ないあたしは、須王があたしの顔を見ているなど気づかず、鍵盤の上に握られたままの手を置いて体勢を保つ。
「あ、ああっ、あん、ああ……」
高低定まらないバラバラな音が鳴り響き、気持ちよくてたまらないと喘ぐあたしの声が響く。
いやらしい水音、彼の息づかい。
「須王、須王っ」
須王が中心となって、あたしを包み込み、ひとつの極楽の音楽になる。
無秩序な音が、須王が奏でた……名も無き音楽となっていく――。
蜜口から入り込んだのは彼の指。
息を詰めて、突如侵入した異物を受け入れることになったあたし。
「痛い?」
「ううん……っ」
最後がため息のような声に、甘さが滲んでしまった。
彼は性急な愛撫はしない。
あたしが慣れるまで、動きをゆっくりと緩やかにさせて。
やがて蜜壷の内壁を指腹で擦られると、全身に走っていたさざ波が強い波となって全身を襲い、あたしは喘ぎ声を強めた。
「ふ……可愛いな、柚は」
なにを言われたのかも、彼の指先があたしを簡単に果てに行き着かないように制御して動いていることにも、わかるはずがなく、いつの間にか加速した予備の本数が増えていることにも気づかずに、ただただ……、須王が授けてくれる刺激に、酔い痴れた。
気持ちいい。
快楽と同時に、須王への愛情が強まる。
あれだけ嫌いだと思っていた彼とのセックスが、今では至福の行為に思えてしまえるなんて、奇跡としか言いようがなく。

