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秘めごと
第1章 芽吹
駅から降りて、事情聴取のために3人で駅員室につれていかれた。
警察がきて、私と青年はその場から解放された。
残されたおじさんのその後は知らない…
「大丈夫か?」
「はぁ」
少し茶髪に染まったはねっけのある髪を泳がせて、彼が私に話かける。
「それにしても、お前淡々としてるな。普通泣くんじゃない?」
「そういうものですか?泣いた方が良かったんでしょうか…」
困ってしまって俯くと、何故か頭上から笑い声が聞こえてきた。
「ハハハハ!お前面白いなぁ。
俺は柏木 環(かしわぎたまき)
お前は?…ってこれじゃナンパみたいだな、まいった」
恥ずかしそうに頭をかく仕草をする彼。
「斉藤茜」
「え?」
「あっすみません、学校に遅れるんで。失礼します」
「あっちょっと」
ホームについた次の電車に飛びのって一息ついた。
扉の向こうで柏木さんがなにか言ってたけど、残念ながらその声は届かなかった。
腕時計を確認する。
(ギリギリ間に合うかな)
走り出した電車の中で、舞っているピンクの花びらをただ見つめながら、私は揺られていた。

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