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サキュバスちゃんの純情《長編》
第8章 兄弟の提携

「翔吾くんは……健吾くんとの関係をどうして欲しい?」
その話が切り出せたのは、席に座って少したってからだ。今朝はバタバタしていて話せなかったから、東京に帰るまでに何とか聞き出しておかないといけないのだ。
翔吾くんは「うぅん」と唸って、考える。
「つまりは、恋人とセフレの境界線なんだけど」
「健吾以外の人とも、ってことだよね。そもそも、あかりは……何でセフレが必要なの?」
話題が話題なので、周りの人に聞かれないように声のトーンを落としながら話す。
そもそも、も何も……精液が欲しいだけなんだけどなぁ。
「……依存症、なの、かな」
「治す気は?」
「あんまりない」
「じゃあ、セックスができればいいんだよね? 毎日?」
「週イチで大丈夫だよ」
翔吾くんとこんな話をするのは実は初めてだ。恋人だから、これも必要な会話になるのだろう。
水森さんとした同じような会話を思い出す。彼はセフレでも恋人でもない、変な存在だ。
「週イチ……なら、俺とだけなら、問題ないんじゃない?」
「……」
そうなんだよなぁ。
ハタチの男子が恋人なら、確かに心強い。セックスの回数も、精液量も、申し分ない。
となると、翔吾くん以外の人は不必要だと言わざるを得ない。
ただし、翔吾くんが老いるまで。セックスレスになるまで。

