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サキュバスちゃんの純情《長編》
第8章 兄弟の提携

「もしもし。ご迷惑でしたか」
『いえ、大丈夫です。何かありましたか?』
「……私が何を望むのか、わからなくなりまして。相談になら、いつでも乗ってくださるんですよね?」
『構いませんよ。それで、あかりさんが望むこととは?』
だから、それがわからなくなったから水森さんに相談しているんだってば。
窓から木々が揺れているのが見える。ザワザワとかすかに音が聞こえる。静かなようで騒がしい夜だ。
「……精液だけを望むのは、難しいことですか?」
『難しいから悩んでいるのでは?』
「それは、そうなんですけど……どうすれば、精液だけ確保することができますか?」
『セックスフレンドを本気にさせないようにするか、セックスフレンドではなく、恋人か夫を迎えたらいいのでは?』
恋人か、夫?
こいびとか、おっと?
セックスフレンドでは、なくて?
それは、考えてもみなかった。青天の霹靂だ。
「恋人か夫、ですか?」
『男はそれで満足するのでしょう? ならば、別にいいではないですか』
「で、でも、私は叡心先生のことが」
『それも話せばいいじゃないですか。それでもいいという男だけを恋人か夫にすればいいでしょう』
話す……叡心先生のことを、話す……。
『村上叡心のことを知りながら、それでもあなたのことを愛するという男性が現れたら?』という水森さんの問いに、私はなんて答えたんだった?
そういう男性が現れたら、恋人か、夫に、する?
いや、でも、やっぱりそれは、無理。無理な気がする。無理でしょ? 無理だよね?

