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サキュバスちゃんの純情《長編》
第8章 兄弟の提携

「あかりさん、翔吾を愛してやって」
健吾くん、私は。
「翔吾だけ、とは言わないから、さ」
でも、それは。
「だって、もう、あかりさんは翔吾のことが――好きだろ?」
……え?
「なら、それを伝えてやってくれ。あ、タクシー来たから、行くよ」
「ちょっ、と、健吾く――!」
砂利を踏むタイヤの音に、荷物を持って健吾くんは玄関に向かう。そして、靴を履きながら、彼は笑った。
「翔吾が恋人で、俺がセフレ、でいいよ」
「はっ?」
「じゃ、また連絡して。セックスしたくなったら」
そうして、健吾くんはタクシーに乗ってどこかへ行ってしまった。
母方の実家、とは言っていたけれど、本当の行き先なのかはわからない。私は、桜井家の事情には詳しくないのだ。
健吾くんが言っていたことは、何なのだろう。
私は、翔吾くんが、好き?
……好き?
愛しているの?
本当に?

